猫を迎えた初日は、飼い主にとってもワクワクする特別な日ですが、猫にとっては知らない場所に連れてこられて不安でいっぱいの日です。この日の過ごし方次第で、猫が新しい環境に慣れるスピードや、飼い主との信頼関係の築き方が大きく変わってきます。
初日は「可愛くてたまらない」という気持ちが溢れて、つい構いすぎてしまいがちですが、実はそれが猫にとって大きなストレスになることもあります。この記事では、猫を迎えた初日にやってはいけないNG行動と、猫が安心して過ごせるための正しい接し方をご紹介します。
- 猫が安心できる環境の作り方
- 絶対にやってはいけないNG行動5つ
- キャリーから出てこない時の対処法
- 初日から1週間の過ごし方のポイント
- 猫を迎えた初日の具体的なスケジュール
わたしもじゅにあを迎えたときは、可愛くてずっと見ていたいし触りたいし、話しかけたい気持ちでいっぱいでした。でも、ぐっと我慢して猫のペースを優先して見守っていました。結果的にスムーズにわがやに慣れてくれました。
初日の接し方で、その後の関係性が変わると言っても過言ではありません。この記事が、猫にとって最高のスタートを切ってあげるためのヒントになれば嬉しいです。
猫を迎える前の最終準備チェック
家に連れて帰る前に、準備が整っているか最終確認をしましょう。

必須アイテムの配置確認
トイレ、食器、水入れ、ベッド、キャリーバッグが使いやすい場所に配置されているか確認します。特にトイレは静かで落ち着ける場所に設置しましょう。食事場所とトイレは離して配置するのが基本です。
猫を迎える時に必要なものについては以下の記事で詳しく説明しています

危険なものは片付ける
電気コード、誤飲しやすい小さなもの、観葉植物など、猫にとって危険なものは事前に片付けておきます。初日は特に、猫が興味本位で色々なものに近づくので注意が必要です。
危険な植物については以下の記事で説明しています。

隠れ場所の確保
猫が怖がったときに隠れられる場所を用意しておきます。ベッドの下、クローゼットの一部、段ボール箱など、猫が安心できる薄暗くて狭い空間があると安心です。
家族全員で接し方を共有
家族がいる場合は、初日の接し方について事前に話し合っておきましょう。特に小さな子どもがいる家庭では、「初日は触らない」「大きな声を出さない」などのルールを決めておくと安心です。
猫を家に連れて帰るまで

キャリーバッグの扱い方
移動中はキャリーを揺らさないように、両手でしっかり持ちます。車の場合はシートベルトで固定し、電車やバスの場合は膝の上で安定させましょう。キャリーに布をかけて暗くしてあげると、猫が落ち着きやすくなります。
キャリーバッグについては以下の記事でわかりやすく説明しています。

車や電車での移動時の注意
猫は慣れない移動で不安を感じています。大きな声で話しかけたり、キャリー越しに覗き込んだりするのは避けましょう。静かに、できるだけ揺れを少なくして移動することが大切です。
電車での移動については以下の記事で詳しく説明しています

到着したらすぐにすべきこと
家に着いたら、まず猫を落ち着かせる部屋(できれば最初は1部屋に限定)にキャリーごと移動します。いきなり家中を自由にさせるよりも、最初は狭い空間から慣れさせる方が猫にとって安心です。
初日にやってはいけないNG行動5つ
初日の接し方で特に注意したいNG行動をご紹介します。

NG行動1:無理に触ろうとする
可愛くてたまらない気持ちは分かりますが、初日から無理に触ろうとすると、猫は「ここは安全じゃない場所かも」と感じてしまいます。猫から近づいてくるまで、じっと我慢しましょう。
触りたい気持ちをぐっと抑えて、猫のペースを尊重することが信頼関係の第一歩です。
NG行動2:大きな音を立てる
猫は聴覚が非常に敏感です。大きな声で話す、ドアを勢いよく閉める、掃除機をかけるなど、大きな音は猫を怖がらせてしまいます。
初日は特に静かな環境を心がけましょう。
NG行動3:じっと見つめる
猫にとって、じっと目を見つめられることは「敵意」や「威嚇」を意味します。可愛くてつい見つめてしまいがちですが、初日は特に避けましょう。目が合ったらゆっくりまばたきをするか視線を外します。
NG行動4:追いかける
隠れてしまった猫を無理に引っ張り出したり、逃げる猫を追いかけたりするのは絶対にNGです。猫は「逃げ場がない」と感じると、さらに警戒心を強めてしまいます。
隠れているときは、そっとしておきましょう。
NG行動5:来客を呼ぶ
初日は猫にとって環境に慣れることで精一杯です。知らない人が来る(増える)とさらに強いストレスになります。
最低でも1週間、できれば1ヶ月は来客を控えるのが理想的です。猫が環境に完全に慣れてから、少しずつ新しい人に会わせましょう。
猫を迎えた初日の正しい過ごし方(時系列)

到着直後:キャリーから出すタイミング
準備した部屋にキャリーを置き、扉を開けて猫が自分で出てくるのを待ちます。無理に引っ張り出さず、猫が安心して出てこられるまで見守りましょう。
すぐに出てくる子もいれば、時間のかかる子もいます。どちらも正常な反応なので、焦らず待つことが大切です。
最初の2〜3時間:静かに見守る
キャリーから出てきたら、そっと部屋を出て猫を一人にしてあげます。この時間に猫は周囲を探索し、においを嗅いで「ここはどんな場所か」を確認しています。
トイレと水の確認
猫が少し落ち着いたら、トイレと水の場所を確認させます。砂を軽くかいて見せると理解してくれやすいです。
水は新鮮なものを用意し、いつでも飲めるようにしておきます。初日は緊張して飲まないこともありますが、無理に飲ませる必要はありません。
初日の食事タイミング
到着後2〜3時間経ったら、食事を用意します。ただし、緊張して食べないこともあるので、無理強いはしません。
前の環境で食べていたフードと同じものを用意すると、食べてくれる可能性が高まります。
夜の過ごし方
初日の夜は、猫が不安で鳴くことがありますが、構いすぎると「鳴けば来てくれる」と学習してしまいます。
安全が確保されていれば、少し離れた場所から見守る程度にしましょう。どうしても心配な場合は、ケージの中で過ごさせるのも一つの方法です。
キャリーから出てこない時の対処法
- 時間をかけて待つ
- 部屋を暗くする
- キャリーの向きを変える
- おやつや好物で誘う
時間をかけて待つ
一番大切なのは、焦らず待つことです。数時間、場合によっては半日以上かかることもありますが、それは猫が慎重に状況を確認しているだけ。時間が解決してくれます。
部屋を暗くする
明るい場所よりも暗い方が、猫は安心して動きやすくなります。カーテンを閉めて薄暗い環境を作り、飼い主も部屋を出てそっとしておきましょう。
キャリーの向きを変える
キャリーの出口を壁側や家具の下に向けると、猫は「出ても隠れ場所がある」と感じて出やすくなることがあります。
おやつや好物で誘う
どうしても出てこない場合は、キャリーの近くに好物のおやつやフードを置いてみましょう。においに誘われて出てくることがあります。ただし、これも無理強いせず、自然に出てくるのを待ちます。
先住猫がいる場合の初日の過ごし方
先住猫がいる場合は、初日から一緒にするのではなく、段階的に慣れさせることが重要です。
- 最初は完全に隔離
- においの交換から始める
- 数日後にケージ越しで対面
- 焦らず段階的に進める

最初は完全に隔離する
新入り猫は別の部屋で過ごさせ、最低でも1週間は直接会わせないようにします。この期間に、お互いのにおいに慣れさせます。
においの交換から始める
新入り猫が使ったタオルやベッドを先住猫のいる部屋に置き、逆に先住猫のにおいがついたものを新入り猫の部屋に置きます。これで徐々にお互いの存在を認識させます。
ケージ越しの対面は数日後
完全に隔離した状態で数日過ごしたら、ケージ越しに短時間だけ対面させます。この段階でもまだ直接触れ合わせません。威嚇したり怖がったりする様子があれば、すぐに引き離します。
焦らず段階的に進める
先住猫と新入り猫の相性によっては、仲良くなるまで数週間から数ヶ月かかることもあります。焦って無理に会わせると、かえって関係が悪化するので、ゆっくり時間をかけましょう。
先住猫との対面について詳しくは以下の記事で解説しています。

初日から1週間の過ごし方のポイント
初日だけでなく、最初の1週間も猫にとって大切な慣らし期間です。
- 2〜3日目:同じ部屋で静かに過ごす時間を増やす
- 4〜7日目:行動範囲を少しずつ広げる
- 遊びは短時間から
- 生活リズムを整える

2〜3日目:少しずつ交流を増やす
猫が環境に慣れてきたら、同じ部屋で静かに過ごす時間を作ります。本を読んだり、スマホを見たりしながら、猫の近くにいる時間を増やしましょう。猫から近づいてきたら、優しく声をかけたり、軽く撫でたりしても良いタイミングです。
4〜7日目:行動範囲を広げる
1週間経つ頃には、少しずつ家の中の行動範囲を広げていきます。ただし、一気に全部屋を開放するのではなく、1部屋ずつ慣れさせるようにしましょう。
遊びのタイミング
猫が環境に慣れて、自分から遊びを誘ってきたら、優しく遊んであげましょう。初めての遊びは短時間(5〜10分程度)にして、猫が疲れすぎないように注意します。
生活リズムを整える
食事の時間、遊びの時間、寝る時間を毎日同じにすることで、猫は「ここは安全な場所だ」と感じやすくなります。規則正しい生活リズムを心がけましょう。
月齢・年齢別の初日の注意点
猫の年齢によって、初日の対応は少し変わってきます。
- 子猫:好奇心旺盛。体力がないので遊びすぎに注意
- 成猫:慎重な子が多い。特に保護猫はゆっくり慣らす
- シニア猫:環境変化に弱い。静かで段差の少ない環境を用意
子猫の場合
生後2〜3ヶ月の子猫は、好奇心旺盛で環境に慣れるのも早い傾向があります。ただし、体力がないので長時間遊ばせすぎないように注意。トイレトレーニングがまだの場合は、こまめにトイレに連れて行きましょう。
成猫の場合
成猫は慎重な子が多く、環境に慣れるまで時間がかかることがあります。無理に触ろうとせず、猫のペースを最大限尊重しましょう。特に保護猫の場合は、過去のトラウマがあることもあるので、より慎重な接し方が必要です。
シニア猫の場合
7歳以上のシニア猫は、環境の変化にストレスを感じやすいです。静かで落ち着いた環境を用意し、段差の少ない動線を作ってあげましょう。持病がある場合は、薬や通院スケジュールも事前に確認しておきます。
初日によくある心配ごとQ&A
初日によくある疑問にお答えします。
- 夜中に鳴く
- トイレの失敗
- ずっと隠れている
- 食べない・飲まない

食べない・飲まない場合は?
初日は緊張で食べない・飲まないことがよくあります。24時間以内に少しでも食べたり飲んだりしていれば問題ありません。ただし、48時間以上何も口にしない場合は動物病院に相談しましょう。
ずっと隠れたまま出てこない場合は?
猫が安全だと感じるまで時間がかかることもあります。1〜2日隠れたままでも、トイレに行ったり食事をしたりしていれば大丈夫です。無理に引っ張り出さず、猫が自分で出てくるまで待ちましょう。
夜中に鳴き続ける場合は?
子猫や保護猫に多い行動です。不安で鳴いている場合がほとんどなので、安全を確認したら少し離れた場所から見守りましょう。構いすぎると、鳴けば来てくれると学習してしまいます。
トイレを失敗した場合は?
初日は場所が分からず失敗することもあります。怒らず、静かに片付けて消臭スプレーで処理しましょう。猫をトイレまで連れて行き、猫砂を軽くかいて見せると覚えてくれます。

まとめ
猫を迎えた初日は、飼い主の気持ちをぐっと抑えて、猫のペースを最優先にすることが何より大切です。触りたい、遊びたい、写真を撮りたいという気持ちは分かりますが、それは猫が環境に慣れて、心を開いてくれてからでも遅くありません。
初日の接し方が、その後の信頼関係の土台になります。静かに見守り、猫が自分から近づいてくるのを待つ。その我慢が、きっと素敵な関係を作ってくれますよ。
じゅにあも、初日はずっとおちつきませんでしたが、翌日には部屋を探検するようになり、1週間後には膝の上で寝てくれるようになりました。焦らず、猫のペースで進めていけば大丈夫です。あなたと猫の新しい暮らしが、幸せなものになりますように。

