猫の慢性腎不全は、7歳以上の猫の死因として最も多い病気のひとつです。「うちの子はまだ若いから大丈夫」と思っていても、腎臓病は静かに進行していきます。
症状がはっきり見えるころには、すでにかなり進んでいることも少なくありません。
だからこそ、早めに知っておくことが大切になります。
- 慢性腎不全の初期症状と進行のサイン
- 病院で行う検査と診断の流れ
- ステージ別の治療法と日常ケア
- 今日からできる予防策と食事管理
わがやのじゅにあはまだ若く、今のところ腎臓に問題はありません。でも「いつか来るかもしれない」と思うと、今できることをしておきたくなります。腎臓病は一度悪くなると元には戻らない病気。だからこそ、予防と早期発見がすべてなんですよね。
この記事では、飼い主として知っておきたい慢性腎不全のことを、獣医師の先生方の見解や、実際に闘病された飼い主さんの声も参考にして、わかりやすくまとめました。
猫の慢性腎不全とは?なぜ猫に多いのか
腎臓は、血液から老廃物をこし取って尿として排出する「体の浄化装置」。
この機能が落ちると、体に毒素が溜まってしまいます。
猫に腎臓病が多い理由は、祖先が砂漠で暮らしていたことと関係があります。
少ない水分で濃い尿を作る能力に優れている反面、腎臓に負担がかかりやすい体のつくりなんです。
年齢を重ねるほど発症率は上がり、7歳以上で約3割、15歳以上では8割以上の猫に腎機能の低下が見られるというデータもあります。
見逃さないで、初期症状はこんなサイン
腎臓は予備能力が高く、機能の75%以上が失われるまで症状が出にくいといわれています。
だからこそ、初期のサインを見逃さないことが大切です。

初期に見られることが多いサイン
- 水を飲む量が増えたように感じる
- トイレの尿の固まりが大きくなった
- 毛艶が悪くなってきた
- 少しずつ痩せてきた気がする
- 口臭が気になる(アンモニア臭)
進行した場合の症状
- 吐く回数が増える
- 食欲が落ちる
- 元気がなくなる
- 脱水症状(皮膚が戻らない、目が落ちくぼむ、口が乾く)
- 末期にはけいれんや意識障害などの尿毒症
猫の腎臓が悪くなる原因
慢性腎不全の原因ははっきりしないことも多く、加齢、食生活、遺伝、過去の腎障害などが関係していると考えられています。
リスクを高める要因
高タンパクの食事を長期間続けることが腎臓に負担をかけます。特に質の悪いタンパク質は、腎臓を酷使することになります。
脱水も大きなリスクです。水をあまり飲まない猫、ドライフードしか食べない猫は要注意。体が慢性的に水不足になると、腎臓への血流が悪くなり、機能が落ちやすくなります。
尿路結石や膀胱炎を繰り返していた猫も、将来的に腎臓病になりやすい傾向があります。下部尿路の問題が上流の腎臓にも影響を及ぼすためです。
また、ペルシャやアビシニアン、メインクーンといった特定の猫種では、遺伝的に腎臓病になりやすいことが分かっています。
病院ではどんな検査をするの?
「もしかして腎臓が…?」と思ったら、まずは動物病院で検査を受けることになります。

血液検査
血液検査では、BUN(血中尿素窒素)とクレアチニンという数値をチェックします。これらが高いと、腎臓が老廃物をうまく処理できていない証拠です。
ただ、これらの数値が上がるのは、腎機能の75%以上が失われてからなんです。だから「数値が正常だから安心」とは言い切れません。
最近では、SDMA(対称性ジメチルアルギニン)という、より早期に異常を発見できるマーカーも使われるようになってきました。これは腎機能が40%程度低下した段階で上昇するため、早期発見に役立ちます。
尿検査
尿検査では、尿の濃さ(尿比重)や、タンパクが出ていないかをチェックします。腎臓が悪くなると尿を濃縮する力が落ちるため、薄い尿が出るようになります。
朝一番の尿を持っていくのが理想的ですが、難しい場合は病院で採取してもらうこともできます。
その他の検査
超音波検査で腎臓の大きさや形を確認したり、血圧測定をしたりすることもあります。慢性腎不全の猫は高血圧になりやすく、それがさらに腎臓を傷めてしまう悪循環を生むためです。
ステージ分類|進行度を知る
慢性腎不全は、国際的な基準(IRIS分類)でステージ1から4に分けられます。
| ステージ | 特徴 | 主なケア |
|---|---|---|
| ステージ1 | ごく軽度。尿検査で異常が見つかることも | 食事管理・定期検診 |
| ステージ2 | クレアチニンが少し上昇。症状は軽度 | 療法食の開始 |
| ステージ3 | 多飲多尿・食欲低下・体重減少など | 療法食+皮下輸液・薬物療法 |
| ステージ4 | 尿毒症の症状。生活の質が低下 | 積極的な治療・入院も検討 |
治療法やできることは?
療法食
タンパク質とリンを制限し、腎臓への負担を減らします。
少しずつ混ぜて慣れさせるのがポイントです。
皮下輸液
水分補給のために皮下に生理食塩水を注射します。
慣れれば自宅でもできるようになります。
輸液をすると、猫の調子が目に見えて良くなることも多いです。元気が出て、食欲が戻ってくることもあります。
薬物療法
リン吸着剤、血圧の薬、貧血改善薬など。
腎臓病の猫は胃腸の調子を崩しやすいため、吐き気止めや胃薬も使われます。
活性炭サプリの投与
最近では、腸内で毒素を吸着する活性炭サプリメントも使われています。腎臓が処理しきれない毒素を、便として排出することで、体への負担を減らします。
今日から予防のためにできること
腎臓病は予防が何より大切です。

水分補給
水飲み場を家の中に複数設置する。
猫は新鮮な水を好むので、こまめに取り替えることも大切です。流れる水が好きな猫には、自動給水器を使うのもいいですね。わがやでも使っていますが、じゅにあは流れる水に興味津々で、よく飲んでくれるようになりました。
ウェットフードを取り入れるのも効果的です。
食事管理
良質なタンパク質を含むフードを選ぶ。
これは若いうちから意識しておきたいポイントです。安価なフードは、消化しにくいタンパク質が使われていることもあって、長年食べ続けると腎臓に負担がかかります。
プレミアムフードは将来の医療費の節約にも。
定期健診
7歳を過ぎたら、年に1〜2回は血液検査を。
早期発見できれば、それだけ対処の選択肢も広がります。
- 検査費用は数千円から1万円程度かかります。
ストレス管理
快適な環境、安心できる隠れ場所、適度な遊び。
日々の積み重ねが健康寿命を延ばします。
闘病生活で飼い主ができること
もし猫が腎臓病と診断されても、まだできることはたくさんあります。
食べてもらう工夫
療法食を食べてくれない、これは多くの飼い主さんが直面する悩みです。
少し温めて香りを立たせる、ウェットフードと混ぜる、ふりかけをトッピングする。
快適な環境づくり
トイレを増す、いつでも清潔な状態を保つ。
水飲み場も増設して、飲みたいときにすぐ飲めるようにする。
寝床は暖かく、静かで落ち着ける場所に。
体調が悪いときは、普段以上に環境が重要になります。ちょっとした配慮が、猫の負担を減らすことにつながります。
記録をつける
飲水量、尿の量、体重、食欲、吐いた回数。
こうしたことを記録しておくと、病院で説明するときにも役立ちます。「いつもより調子が悪い気がする」という感覚を、数字で裏付けることができます

まとめ
猫の慢性腎不全は、早期発見と日常のケアで、進行を遅らせることができる病気です。多飲多尿や食欲の変化といった小さなサインを見逃さず、定期的な健診で健康管理をする。今から、できる予防を続けていくことが、将来の健康を守ることにつながります。
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