猫はもともと砂漠出身の動物で、食べ物から水分をとる体の仕組みになっています。
そのため、ドライフード中心の生活ではどうしても水分摂取が少なくなりがちで、長く続くと腎臓や泌尿器に負担がかかることがあります。
だからこそ、「飲ませる」のではなく「食べながら補える」スープ系・ウェット系のおやつはとても便利です。
水をあまり飲まない猫と暮らす飼い主さんにとって、自然に水分を補える心強い味方になります。
- 猫が水をあまり飲まず、水分不足が気になっている
- 腎臓の数値が気になり始めた(特に7歳以降のシニア猫)
- スープ・ウェット系おやつを試したいけれど、選び方が分からない
- 水分補給とおやつの役割を両立させたい
猫が水をあまり飲まない理由

猫が積極的に水を飲まないのは、「気まぐれ」ではなく、体の仕組みによるものです。
野生の猫は獲物(ネズミや小鳥)の体液から水分を補っていました。獲物の約70%は水分なので、食事から水分をとるのが自然でした。そのため水を別で飲む必要性がそもそも低かったと言われています。
現代の室内猫がドライフード中心の食事をしている場合、食事から摂れる水分は約10%以下。野生の頃と比べると圧倒的に少ないため、「水を飲んでほしい」と思っても、体が欲していないと飲まない猫が多いのです。
水分不足が続くと、腎臓が尿を濃縮しようとして負荷がかかり続けます。
猫の慢性腎臓病(CKD)は非常に多く、10歳以上では3頭に1頭以上がかかるとも言われています。
水分摂取は、その予防として日頃からできる大切な予防ケアのひとつです。
スープ・ウェット系おやつが猫の水分補給に向いている理由

水分補給を意識したおやつを選ぶなら、スープ系・ウェットタイプが一番使いやすいです。その理由はとてもシンプルで、水分含有量が圧倒的に多いからです。
ドライフードの水分量が約10%なのに対して、スープ系おやつは80〜90%が水分のものもあります。ちゅ〜るスープを1本舐めさせるだけで、数mlの水分を自然に補えます。
「飲ませる」必要がなく、猫が自分から食べてくれる形で水分をとれるのが最大のメリットです。
スープ・ウェット系おやつの選び方
水分補給目的でスープ系おやつを選ぶときに、気をつけておくと安心なポイントがあります。

ナトリウム(塩分)の量を確認する
水分を補いたいのに、塩分が多いおやつを選んでしまうと逆効果になることもあります。
腎臓ケアを意識している場合は、低ナトリウム表記があると安心です。
ナトリウム(塩分)の目安
健康な猫用フードに比べ、腎臓ケア用は半分〜1/3程度に抑えられているのが一般的です。
- 数値の目安
0.2% 〜 0.35%(乾物量あたり) - 一般的な総合栄養食は0.5%〜0.8%程度含まれることが多いです。腎臓への負担を減らすため、0.3%前後が理想的な低ナトリウムの基準とされます。
リンの量もチェック
腎臓が心配な猫には、リン(P)の含有量も大切な確認ポイントです。
リンは体に必要なミネラルですが、腎臓が弱ると排出がうまくできなくなり、体内に蓄積してしまうことがあります。
「腎臓ケア」「低リン」と書かれている商品は、この点を考慮して作られています。
リン(P)の目安
腎臓ケアにおいて最も重要な項目です。
- 数値の目安
0.3% 〜 0.6%(乾物量あたり) - 一般的なフードは1.0%以上含まれることが多く、0.6%以下であれば「低リン」と呼べる水準です。特に腎機能が低下している場合は0.4%〜0.5%程度に調整された療法食が推奨されます。
- 乾物換算(水分を除いた純粋な栄養比率)
【チェックのポイント】
パッケージの成分表を見て、リンが0.6%以下、ナトリウムが0.3%以下(乾物換算)を目安に選ぶと、腎臓への負担を抑えやすくなります。
※AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準では、成猫の健康維持に最低限必要なリンは0.5%とされていますが、腎臓ケア用ではこれよりさらに制限されているものもあります。
注意点として、市販の「おやつ」や「一般食」パウチには詳細な数値が載っていないことも多いため、「療法食メーカーが作っているサポート用おやつ」を選ぶと、より安心感につながります。
一般食?総合栄養食?
スープ系おやつの多くは「一般食(補完食)」に分類されます。
これは主食にはならず、あくまで補助として使うもの。水分補給として使いながら、主食は総合栄養食でしっかり栄養をとるのが基本です。
水分補給・腎臓ケアに使いやすいおすすめ猫おやつ8選

① CIAO ちゅ〜る 腎臓の健康維持に配慮
液体に近く、水分量がとても多いのが特徴です。まぐろ・とりささみなど種類が豊富で、食いつきが良い猫が多いです。
- 水分量:約85〜90%
- 価格目安:1,800〜2,200円(20本入り)
- こんな猫に:水をほとんど飲まない猫・おやつとして水分を補いたい
② CIAO 焼かつおちゅ~る
人気の焼きかつおのちゅ~るタイプおやつです。
- 水分量:約90%
- 価格目安:1,700〜2,000円(20本入り)
- こんな猫に:水をほとんど飲まない猫・おやつとして水分を補いたい
③ モンプチ ナチュラル スープ
具だくさんスープおやつ。グレインフリーで、着色料・香料無添加、合成添加物、も不使用タイプ。バリエーションが多く、飽きにくいのも魅力です。
- 水分量:約80〜85%
- 価格目安:1,100〜1,500円(12個入り)
- こんな猫に:味の変化を楽しませながら水分を補いたい
④ 健康缶 食事で上手に水分補給
生後6カ月以降の子ねこからシニア猫まで幅広く対応。水分と電解質を上手に補給できるように、猫の体液に近いミネラルバランスに調整。国産品
- 水分量:約91%
- 価格目安:1,900円〜2,400円(18個入り)
- こんな猫に:ドライフードの食事が多い猫/お水をあまり飲んでくれない猫
⑤ メディムース 猫用 腎臓サポート
サプリメント成分が入った機能性栄養補助食。シニアでも食べやすいムースタイプ:ふっくら柔らかいムース状に仕上げているため、普段の食事に混ぜたり、食欲不振や口腔疾患などで食事が摂りにくい時には流動状にして与えることもできます。
- 水分量:約85%
- 価格目安:3,100円〜3,300円(95g×12個)
- こんな猫に:シニア猫・低カロリーおやつを探している
⑥ neco-ri (ねこり)
ヤシガラ活性炭を配合し体内の不要物排出をサポートする、腎臓・泌尿器ケアに特化した国産ペーストおやつです。
リン・ナトリウム・マグネシウムを極限までカットしつつ、18種類の添加物不使用でシニア猫や療法食中の猫にも安心。おやつ感覚で水分補給とサプリメント効果を同時に得られます。
- 水分量:不明
- 価格目安:3,500円〜3,600円(10袋入り)
- こんな猫に:腎臓・泌尿器ケアが必要な猫・無添加にこだわりたい
⑦ はごろも 猫用 減塩かつおけずりぶし ソフト削り
かつお節(50%減塩タイプ)。ウェットフードのトッピング・ドライフードのトッピングとしても使えますが、水分補給として使用する方法でご紹介します。
水分摂取のための「出汁」の作り方
煮だすのではなく「お湯を注いで香りを立たせる」方法が主流です。猫に与える際のポイントをまとめます。
- 作り方
器にひとつかみの減塩かつお節を入れ、ぬるま湯(または熱湯)を注いで、香りが十分に出たらそのまま(または冷まして)与えます。 - メリット
煮詰めすぎるとミネラル分が凝縮されてしまうため、注ぐだけの方が腎臓への負担を抑えつつ、強い香りで飲水欲をそそることができます。 - 注意点
市販の人間用「だしパック」は塩分や調味料が含まれるためNGです。必ず猫専用の減塩かつお節を使用してください。
お湯を注ぐ際、以下の点に気をつけるとより安全です。
- ミネラルへの配慮
かつお節は塩分だけでなく「リン」や「マグネシウム」も含まれます。腎臓に不安がある場合は、「出汁」をメインに与え、かつお節そのもの(身)は少量に留めるのが安心です。 - 温度
猫が火傷しないよう、人肌程度のぬるま湯にしてから与えてください。
- 価格目安:1,200〜1,300円(1g×60袋入り)
- こんな猫に:水を飲まない猫・かつお好きな猫
⑧ 手作りスープ(鶏ガラ・まぐろのゆで汁)
市販品以外では、鶏むね肉や鶏ガラをゆでた「無塩チキンスープ」や、まぐろを蒸した時の「ゆで汁」を少量添えるのも、シンプルな水分補給になります。
塩分ゼロ・添加物ゼロで、原材料が完全に分かる点がメリット。ただし保存が短い(冷蔵で1〜2日)ので、使う分だけ作るのが基本です。
スープ系おやつ比較まとめ表
| 商品名 | 水分量 | 腎臓ケア向き | 価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ちゅ〜るスープ 腎臓の健康維持に配慮 | 約85〜90% | 中 | 食いつき◎ | |
| 焼かつおちゅ~る | 約90% | 中 | 香り強め | |
| モンプチ ナチュラル スープ | 約80〜85% | 中 | 種類豊富 | |
| 健康缶 食事で上手に水分補給 | 約91% | 中 | 体液に近い浸透圧 | |
| メディムース 猫用 腎臓サポート | 約85% | 高 | 機能性栄養補助食 | |
| neco-ri | 不明 | 高 | 老廃物ケア | |
| かつお節のだし汁 | 約100% | 低 | 簡単 |
スープ系おやつだけに頼らない、水を飲む環境づくりも大切
おやつで水分を補うのはとても有効ですが、「それだけで十分」とは言い切れません。
日常的に水を飲む機会を増やす工夫も、あわせて取り入れておくと安心です。

水を飲む機会を増やす工夫
- 水入れの場所を2〜3か所に増やす(食事場所とは離れた場所にも置く)
- 流れる水を好む猫には自動給水器が効果的なことがある
- 器の素材・深さを変えてみる(ステンレス・陶器・浅めなど)
- ドライフードに少量の水またはスープをかけてふやかす
これらとスープ系おやつを組み合わせると、水分摂取量をかなり増やせることがあります。
猫に水を飲んでもらう工夫として以下の対策方法もお試しください。

おやつ選びの基本や注意点は、こちらの記事で分かりやすく解説しています。

シニア猫のおやつ選びについては、こちらの記事でさらに詳しく紹介しています。

まとめ
猫が水をあまり飲まないことは、決して珍しいことではありません。体の仕組みがそうなっているだけなので、飼い主さんが落ち込む必要はありません。スープ系・ウェット系のおやつを上手に取り入れることで、無理なく水分を補えるようになります。
腎臓ケアが気になり始めたシニア猫には、低リン・低ナトリウムの商品を選ぶと安心です。ただし、腎臓病の診断がある場合は、獣医師と相談しながら進めるのが一番安心です。
わがやのじゅにあも、ちゅ〜るスープが大好きで、出すと「もっとほしい」という顔をしてきます。そんな姿に困りつつも、水分をしっかりとってくれる安心感のほうが大きいので、これからも続けていくつもりです。
猫の水分補給のためのおやつQ&A
- スープ系おやつで腎臓病は防げますか?
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「防げる」とは言えませんが、水分不足が腎臓に負担をかけるのは確かです。水分摂取量を増やすことは、腎臓病の予防・進行を遅らせるためのケアとして役立ちます。
ただし、遺伝的な要因や年齢による変化は防ぎきれないので、定期的な健康診断と組み合わせて考えてもらえると安心です。
- ちゅ〜るを水代わりに使ってもいいですか?
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水分補給の補助として使うのはいいですが、「水の代わり」にするとカロリーや塩分が過剰になることがあります。新鮮な水は常に置いておくのが基本です。
- 腎臓病と診断された猫でも、スープ系おやつをあげていいですか?
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診断されている場合は、必ず獣医師に確認してください。
腎臓病のステージによって、制限すべき成分が変わるため、市販の腎臓ケア商品でも療法食の代わりにならないことがあります。
おやつ全般の選び方や安全性については、こちらの記事で詳しく解説しています。


