部屋に飾っている観葉植物や、庭に咲いている花が、実は猫にとって命に関わる危険な植物かもしれないことをご存じでしょうか。
人間には無害でも、猫にとっては命に関わる中毒症状を引き起こす植物が数多く存在します。猫は好奇心旺盛なので、葉っぱをかじったり、花を口にしたりすることがあるんです。
- 猫を飼っていて植物も楽しみたい方
- 猫が植物をかじってしまい困っている方
- 観葉植物を飾っているが安全性が気になる方
この記事では、わたしが調べて整理した危険な植物のリストと、万が一誤飲してしまった場合の対処法、そして安全に植物を楽しむための工夫をお伝えします。
なぜ猫は植物を食べてしまうの?
まずは、どうして猫は植物に興味を示してしまうのか、その理由から理解しておきましょう。猫の行動には、必ず理由があるんです。

本能的な行動の場合
猫はもともと肉食動物ですが、野生では獲物と一緒に草を食べることもあります。これは、体内に溜まった毛玉を吐き出したり、食物繊維を摂取するための本能的な行動といわれています。
室内飼いの猫もこの本能が残っているため、目の前にある植物に興味を示してしまうのですね。
退屈やストレスが原因の場合
運動不足や刺激の少ない環境にいると、猫は退屈しのぎに植物をかじることがあります。また、ストレスを感じているときも、気を紛らわせるために植物に手を出すこともあるので、普段から十分な遊びの時間や、猫が楽しめる環境づくりをしてあげることが大切です。
好奇心からの行動の場合
特に子猫は好奇心旺盛で、動くものや揺れるものに強く反応します。風で揺れる葉っぱや、垂れ下がったツル植物は、猫にとって格好の遊び相手に見えてしまうんです。遊んでいるうちに、つい口に入れてしまうというのも、よくあることなのですね。
特に危険度が高い植物【致死性あり】
ここからは、猫が口にすると命に関わる危険性が非常に高い植物をご紹介します。これらの植物は、家の中や庭に絶対に置かないようにしましょう。

ユリ科の植物は本当に危険!
ユリ科の植物は、猫にとって最も危険な植物のひとつです。なぜなら、花、葉、茎、花粉、さらには花瓶の水にまで毒性があるからです。
ごく少量を口にしただけでも、急性腎不全を引き起こし、命を落とす可能性があります。症状は摂取後数時間以内に現れることが多く、嘔吐、よだれ、食欲不振などが見られます。
| 主なユリ科の植物 |
| テッポウユリ、オニユリ、スカシユリ、カサブランカ |
| チューリップ、スズラン |
ユリは本当に危険です。猫のいる家には絶対に置かないように徹底してくださいね。
ツツジ科の植物
ツツジやシャクナゲに含まれる「グラヤノトキシン」という成分が、猫に中毒症状を引き起こします。摂取すると、嘔吐、下痢、よだれ、震え、心拍数の低下などが見られます。
重症化すると、昏睡状態に陥ることもあるため、こちらも要注意です。
- 主なツツジ科の植物: ツツジ、シャクナゲ、サツキ、アザレア
ソテツ(サイカス)
ソテツは観葉植物としても人気がありますが、猫にとっては非常に危険です。特に種子の毒性が強く、肝不全を引き起こす可能性があります。
嘔吐、下痢、出血、黄疸などの症状が現れ、適切な処置をしなければ命に関わるため、わがやでも絶対に避けています。
危険度が高い観葉植物の注意点
次に、室内でよく見かける観葉植物の中で、猫にとって危険なものをご紹介します。人気の観葉植物でも、猫には危険なものが多いので、しっかりチェックしましょう。

シュウ酸カルシウムを含む植物
ポトス、モンステラ、フィロデンドロン、ディフェンバキアといったサトイモ科の植物には、「シュウ酸カルシウム」という成分が含まれています。
- ポトス・モンステラ・フィロデンドロン
口内の炎症、よだれ、嘔吐、呼吸困難などの症状が出ることがあります。モンステラは大量に摂取すると呼吸困難になる可能性もあります。 - ディフェンバキア
「ダムケーン(口にすると舌や喉が腫れ上がって声が出せなくなる)」とも呼ばれ、激しい痛みと腫れが生じ、最悪の場合は窒息の危険もあります。
その他の危険な観葉植物

- ドラセナ(幸福の木)
幸福の木として人気ですが有毒です。嘔吐、食欲不振、よだれ、瞳孔の拡大などの症状が現れます。特に「ドラセナ・マルギナータ」は毒性が強いといわれています。 - アロエ
人間にとって健康に良い植物ですが、猫には有毒です。含まれる「アロイン」という成分が、猫の消化器系にダメージを与え、嘔吐、下痢、震え、食欲不振などを引き起こします。
危険度が中程度の植物
致死的ではないものの、大量に摂取したり、猫の体調によっては重症化する可能性があるため注意が必要です。

- アイビー(ヘデラ)
ツタ植物として人気ですが、軽度から中程度の毒性があります。嘔吐、下痢、腹痛などの症状が見られます。垂れ下がるタイプは猫が遊びやすいので特に要注意です。 - シクラメン
球根(塊茎)に毒性が強い成分が含まれています。嘔吐、下痢、心拍数の異常などが起こります。 - カランコエ
多肉植物は総じて危険なものが多く、カランコエも有毒です。嘔吐、下痢、心拍数の異常などを引き起こします。 - ゴムの木
定番の観葉植物ですが、口にすると胃腸症状を引き起こします。樹液に触れると皮膚炎を起こすこともあります。
中毒症状の見分け方と緊急時の対処法
猫が植物を口にしてしまったかもしれないとき、どのような症状に注意すればよいのでしょうか。少しでも様子がおかしいと感じたら、すぐに動物病院に連絡しましょう。

すぐに現れる症状
植物を食べた直後から数時間以内に現れることが多い症状です。
- 消化器系の症状:嘔吐、下痢、食欲不振、よだれ
- 口腔内の症状:口内の腫れや赤み、痛みによる鳴き声、口を気にする仕草
- 神経系の症状:ふらつき、けいれん、震え、興奮または沈うつ
時間が経ってから現れる深刻な症状
ユリなど一部の植物では、摂取から数時間〜数日後に深刻な症状が現れることがあります。
- 元気がない
- 尿の量が減る、または出ない(腎不全の兆候)
- 黄疸(目や皮膚が黄色くなる)
- 呼吸が荒い
誤飲してしまったときの応急処置
猫が危険な植物を口にしてしまったときは、冷静かつ迅速な対応が必要です。
1. まず最初にすべきこと
- 猫を植物から遠ざける
すぐに猫を別の部屋に移動させ、さらに食べないようにします。 - 食べた植物を確認する
何の植物を食べたのか確認し、可能であればスマホで写真を撮っておきましょう。動物病院で治療方針を決める際の重要な情報になります。
2. 動物病院への緊急連絡
猫が植物を食べたことが確実な場合、または疑わしい場合は、すぐに動物病院に連絡してください。
夜間や休日でも、緊急動物病院に連絡しましょう。電話では、以下の情報を正確に伝えます。
- 何の植物を食べたか(植物の名前、または写真)
- どれくらいの量を食べたか
- いつ食べたか(何分前、何時間前)
- 現在の症状
3. 絶対にしてはいけないこと
- 無理に吐かせようとしない
自己判断で吐かせようとすると、食道や気管を傷つけるなど、かえって危険です。 - 水や牛乳を無理に飲ませない
誤った処置は症状を悪化させることがあります。 - 様子見をしない
「少ししか食べていないから大丈夫だろう」と様子を見ているうちに、取り返しのつかない事態になることもあります。
安全に植物を楽しむための工夫
猫を飼っていても、植物を諦める必要はありません。工夫次第で、安全に植物を楽しむことができます。

猫が入れない場所に置く
植物を飾る場所を工夫し、猫が触れられないようにしましょう。
- 猫が入れない部屋(書斎や使用していない寝室など)に置く。
- ハンギングプランターで高い位置に吊るす。
- ガラスケースやテラリウムの中に入れる。
ただし、猫は高い場所にも簡単に登れるので、「高い棚の上なら安全」と過信しないことが大切です。
猫に安全な植物を選ぶ
猫に無害な植物を選べば、安心して部屋に飾ることができます。ただし、「無害」といっても大量に食べれば胃腸を刺激することがあるため、過信は禁物です。
| 猫に安全な植物の例 |
| 猫草(エン麦、大麦など) |
| ペペロミア、エアプランツ(チランジア) |
| シダ類(ボストンファーンなど)、バンブーパーム |
| アレカヤシ、カラテア、マランタ |
naluわたし自身、猫を迎えてからモンステラとポトスを手放したのですが、部屋が寂しくなってしまって…。そこで選んだのが、猫に無害で南国のような雰囲気が出るフェニックスロベレニー(この見出し下の写真のヤシ科の植物)でした。
こんな便利なサイトもあります。


猫が興味を示さない工夫
物理的な工夫で、植物に近づけないようにすることも効果的です。
- 柑橘系のスプレーを使う
猫は柑橘系の香りが苦手です。植物の周りにレモンやオレンジの香りのスプレーを吹きかけておくと、近寄らなくなることがあります。 - 植木鉢の周りにアルミホイルを敷く
アルミホイルの感触や音を嫌がる猫が多いので、これも一つの方法です。 - ビターアップルを使う
苦味のあるスプレーを葉に吹きかけておくと、かじったときに嫌な味がして学習することがあります。
代わりに猫草を用意する
猫が植物をかじりたがるのは、自然な行動ですよね。危険な植物の代わりに、猫草を用意してあげるのはとっても効果的です。
定期的に新鮮な猫草を与えることで、他の植物への興味が薄れることもあります。猫草を用意してあげると、他の植物への興味が減ることもありますので、ぜひ試してみてくださいね。


まとめ
猫にとって危険な植物は、わたしたちの身の回りに意外と多く存在しています。特にユリ科の植物は、猫にとって致命的な危険があるため、絶対に家の中に置かないということを、今日一番の教訓にしてください。
もし猫が植物を食べてしまったら、「少ししか食べていないから大丈夫」と自己判断せずに、すぐに動物病院に連絡することが大切です。早めの対応が、大切な猫の命を救うことにつながるります。
植物を楽しみたい気持ちと、猫の安全を両立させることは可能です。今回ご紹介したように、猫に無害な植物を選んだり、猫が届かない場所に置いたりする工夫をして、安全で快適な暮らしを猫と一緒に楽しんでいきましょう!












