「猫を抱っこしようとするたびに逃げられる」、「すぐにジタバタして降りようとする」
多くの飼い主さんが悩むこんな経験について詳しくお話しします。
猫が抱っこを嫌がるのは、飼い主のことが嫌いだからではありません。猫の体の構造や、抱き方のちょっとしたズレが原因になっていることがほとんどです。正しい抱き方を知り、少しずつ慣らしていくだけで、抱かせてくれるようになる子も多いです。
- 抱っこするたびに噛まれる・引っかかれる
- すぐ暴れて降りてしまい、うまく保定できない
- 通院や爪切りのときに困っている
抱っこがスムーズにできると、日常のお世話だけでなく、緊急時や通院のときにも大きな助けになります。焦らず、ゆっくり試してみてください。
なぜ猫は抱っこが苦手なのか、まず体の仕組みから
猫が抱っこを嫌がる最大の理由は、体の構造にあります。

猫は犬とは違い、もともと単独行動をする動物。体を拘束されること自体が本能的に危険を感じやすいです。野生の猫にとって、四肢が自由でない状態は捕食者に捕まることと同じなので、「拘束=怖い」という感覚が体に刻まれています。
さらに猫の骨格の特徴として、鎖骨がほぼ退化しており、前足と体幹がつながる筋肉・靭帯の支えが犬より弱いです。
脇を持ち上げる「ブラ抱き」は、肩や前肢の筋肉に負荷がかかりやすく、猫にはかなり不快な体勢です。人間が脇をつかまれて宙に浮かされるようなイメージに近いかもしれません。
わがやのじゅにあも、最初の頃はとにかく抱っこが嫌いでした。小さいときは軽いので、ついひょいと持ち上げてしまっていたからだと思います。持ち方を変えてからはだいぶ落ち着いて抱かせてくれるようになったので、まずは「持ち方」を見直すことが一番の近道だと実感しました。

正しい抱き方の基本|体全体を支えることが大前提
猫を抱くときの基本は、「体重を分散して、足が浮かないようにする」こと

- 片方の手をお腹の下にそっと入れて、体を下から支える
- もう片方の手はお尻や後ろ足の下に添えて、後ろ半身を支える
- 体を自分の胸や腕にゆっくり引き寄せて密着させる
猫が地に足がついているような感覚を持てる体勢が、一番落ち着きやすいです。
絶対にNGなのは、「ブラ抱き」

前足の脇だけをつかんで持ち上げる抱き方は、猫の体重が前肢の付け根に集中してしまい、関節や筋肉に大きな負担がかかります。猫が嫌がるのは当然で、続けると抱っこ自体を強く拒否するようになることもあります。
また、抱っこ中はできるだけ猫の顔が外側(飼い主の体の外側)を向くように保持すると、視野が確保されて安心しやすいです。反対に、顔を胸に押し付けるように抱くと視野が塞がれて怖がることがあります。
猫の体型・性格によって「合う抱き方」が違う
猫にも個体差があって、同じ抱き方でも合う子と合わない子がいます。

たとえば、ベンガルのようにアクティブで警戒心が強めの猫は、長く抱っこされること自体が苦手な子が多いです。
naluじゅにあは、10〜15秒くらいなら嫌がらずにいられるようになりましたが、すぐに着地地点を探し始めます。
怖がりな猫や保護猫は、体に触れられること自体に慣れていない場合があります。抱っこの前に「撫でられることへの慣れ」から始めるとスムーズです。
猫種や体型ごとの違いを整理すると以下の表のようになります。
自分の猫がどのタイプに近いか、参考にしてみてください。
| 体型・タイプ | 代表的な猫種 | 抱き方のポイント | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 大型で重心が後ろの猫 | ラグドール、メインクーン | 腕全体で体をすっぽり包む。後ろ半身を特にしっかり支える | 体重が重いので前肢だけに負荷が集中しないよう注意 |
| アクティブで警戒心が強い猫 | ベンガル、アビシニアン | 短時間だけ抱いてすぐ解放を繰り返す。胸に密着させて視野を確保 | 長く拘束しない。暴れ始めたらすぐ降ろす |
| 小柄で華奢な猫 | シンガプーラ、デボンレックス | 手のひら全体でお腹を支え、胸に引き寄せる横抱きが安定しやすい | 少しの傾きでバランスが崩れやすいので縦抱きは避けめに |
| 関節に注意が必要な猫 | スコティッシュフォールド | 足の付け根・後ろ肢に負荷がかからないよう体全体を均等に支える | 関節疾患を持ちやすい猫種。足がぶらつく持ち方は厳禁 |
| おとなしい猫 | ラグドール、バーミーズ | 基本の横抱きで問題なし | 「大人しいから大丈夫」と雑に扱わない。限界サインは必ず確認する |
抱っこの前段階の参考として、猫との程よい距離感の取り方を知りたい方は、以下の記事が参考になります。


抱っこに慣れさせる4つのステップ
抱っこが苦手な猫を慣れさせるには、段階を踏むことが大事です。一気に抱き上げようとするより、ゆっくりステップを踏んだほうが結果的に早く慣れることが多いです。


猫がリラックスしているときに、頭・あご・背中など好きな場所から優しく撫でます。お腹や足先など嫌がりやすい部位は最初は避けます。
いきなり抱き上げるのではなく、抱っこ前に決まった声かけや動作を挟むことで、猫が「これから抱っこされる」と予測できるようになります。
じゅにあには「抱っこするよ」と声をかけてから持ち上げるようにしていて、今では声を聞いてから少し構えるようになりました。
「抱っこ=終わりがある」という経験を積み重ねることで、猫の緊張がほぐれます。解放後におやつや撫でをセットにすると、抱っこにポジティブなイメージがつきやすいです。
嫌がらずにいられる時間が延びてきたら、少しずつ抱っこの時間を伸ばします。猫が動き始めたり、しっぽをバタつかせたりしたら「そろそろ限界」のサインなので、そこで降ろします。
もっと猫と仲良くなるため方法についてはこちらの記事をご覧ください。


通院・緊急時に役立つ「保定」の考え方
通院時や爪切り・投薬時などに必要なのが「保定」です。猫が嫌がっても一定時間、安全に体を固定しておく必要があるときの方法です。


保定の基本は、猫の体を飼い主の体や腕にしっかり密着させて、なるべく少ない力で安定させること。力まかせに押さえると猫が余計に暴れます。
タオルで体をくるむ「タオル巻き」は、猫が視覚的に落ち着きやすく、引っかかれにくいので一つの方法として覚えておくと便利です。
ただし、保定は猫への負担が大きい行為でもあります。日常的にやりすぎると抱っこへの恐怖心が強まるので、本当に必要なときだけにしましょう。
通院時のストレスを減らす工夫については、キャリーの使い方と合わせて考えると効果的です。コツについては以下の記事で詳しく解説しています。


抱っこしようとして噛まれた・引っかかれたときの対処
抱っこ中に噛まれたり引っかかれたりすると、反射的に手を引きたくなりますが、それが猫の狩猟本能を刺激することがあります。噛まれた瞬間は力を抜き、静かにその場を離れるほうが猫が落ち着きやすいです。
噛みや引っかきが頻繁に起きる場合は、抱き方か抱くタイミングの問題であることが多いです。猫の嫌がるサインを見落としていないか、改めて確認してみてください。
噛みつく猫への対策は、こちらの記事で詳しく解説しています。


噛みつく、引掻く理由と対策については以下の記事で詳しく解説しています。


まとめ
猫が抱っこを嫌がるのは、飼い主を拒絶しているわけではなく、体の構造や本能からくる自然な反応です。正しい持ち方で体全体を支え、段階を踏んでゆっくり慣れさせることが、抱っこ上手への近道になります。
「うちの子は抱っこが嫌いだから」と諦めてしまう前に、持ち方を一度見直してみてください。じゅにあも最初は全力で逃げる子でしたが、今では短時間なら穏やかに抱かせてくれます。すぐに抱っこさせてくれなくても大丈夫。猫のペースで、少しずつ積み重ねていきましょう。







