動物病院に行こうとキャリーを出した瞬間、猫が逃げてしまった経験はありませんか。病院での診察が必要だとわかっていても、嫌がる姿を見ると心が痛みますよね。
猫にとって動物病院は、慣れない場所や音、知らない人との遭遇など、不安になる要素がたくさんあります。でも、ちょっとした準備や工夫で、猫が感じるストレスは軽くできるんです。
この記事では、キャリーケースの選び方や普段からできる慣らし方、当日の準備から帰宅後のケアまで、猫にやさしい通院方法をお伝えします。猫も飼い主も安心して病院に通えるように、少しずつ準備していきましょう。
- 帰宅後の猫へのケア
- 病院に行く当日の準備と工夫
- 待合室や診察室での過ごし方のコツ
- 普段からできるキャリーへの慣らし方
- 猫が安心できるキャリーケースの選び方
なぜ猫は動物病院が苦手なの？
猫が動物病院を嫌がるのには、いくつかの理由があります。
猫は自分のテリトリーを大切にする動物です。知らない場所に連れていかれることは、猫にとって大きなストレスになります。待合室の他の動物の匂いや鳴き声、見知らぬ人の存在も不安の原因です。
過去の経験も影響しています。動物病院で痛い注射を受けた記憶があると、キャリーを見ただけで「また嫌なことが起きる」と察知してしまうこともあります。猫は一度嫌な体験をすると、なかなか忘れられない性質があるんです。
でも、これらの不安は工夫次第で減らすことができます。普段からの準備と当日の配慮が、猫の気持ちを楽にしてくれます。
キャリーケースの選び方
猫にとって安心できるキャリーケースを選ぶことが、ストレス軽減の第一歩です。
キャリーケース ハードタイプとソフトタイプの違い
ハードタイプ（プラスチック製）
上下が分かれるタイプは、多くの獣医師に推奨されています。安定感があり、猫が中で暴れても壊れにくいのが特徴です。
上部が外れるタイプなら、診察のときも猫をスムーズに出せます。緊張して奥に入ってしまった猫も、無理に引っ張らずに対応できるので、猫にも獣医師にもやさしい構造なんです。
このタイプは診察時にキャリーの上半分を外して診てもらえることもあり、猫の負担が少なく感じられます。
ソフトタイプ（布製）
軽くて持ち運びやすいソフトタイプも人気があります。ただし、底がしっかりしていて、形が崩れにくいものを選びましょう。
扉部分がメッシュになっているものは、格子状の扉より外が見えにくく、猫が落ち着きやすいことがあります。
サイズの目安
猫が中で方向転換できる程度の大きさが理想です。猫が立った状態で、頭を少しかがめて入れるくらいのサイズを選びましょう。
大きすぎると移動中に猫が不安定になり、逆にストレスになることがあります。狭い空間の方が安心できる猫も多いんです。
あると便利な機能
- 上部と側面に扉がある
- 通気性が良い
- しっかり閉まるロック機能
- 滑り止めマットやペットシーツを敷ける構造
上部と側面に扉があると、猫の出し入れがしやすくなります。
通気性の良いもの、しっかり閉まるロック機能のあるものを選びましょう。
中に滑り止めマットやペットシーツを敷いておくと、粗相してしまった場合も安心です。
キャリーバッグの選び方については以下の記事で詳しく説明しています。
普段からできるキャリーへの慣らし方
キャリーケースに慣れていれば、通院のストレスはぐっと減ります。時間をかけて、少しずつ慣らしていきましょう。
キャリーを日常の一部に
キャリーケースは病院に行くときだけ出すのではなく、普段から部屋に置いてす。扉を外した状態で、リビングや猫がよく過ごす場所に置いておきましょう。
中に猫が好きなタオルやクッションを入れておくと、自然と「隠れ家」として使ってくれることがあります。キャリーが特別なものではなく、日常の一部と認識してもらえると、いざというときに入りやすくなります。
良い印象をつくる
キャリーの中でおやつをあげたり、ごはんを食べさせたりして、
「キャリー＝良いことが起きる場所」という印象をつくります。
お気に入りのおもちゃを入れて遊び場所として使うのも効果的です。わがやでは、猫が好きなキャットニップ入りのおもちゃを入れて慣らしていました。
段階的に慣らす
まずは自由に出入りできる状態にします。無理に入れようとせず、猫が自分から入るのを待ちましょう
キャリーの中でリラックスできるようになったら、短時間だけ扉を閉めます。最初は数秒から始め、徐々に時間を延ばします。
扉を閉めることに慣れたら、キャリーを持ち上げて家の中を移動してみます。両手でしっかり持ち、体に密着させるように運びます。
車移動の場合は、エンジンをかけずに車内に置くことから始め、慣れたら短距離ドライブへ。
急がずに、猫のペースに合わせて進めることが大切です。子猫や嫌な経験が少ない猫ほど、早く慣れてくれる傾向があります。
naluわがやのじゅにあはカートで病院に行くことが多いので、カートで短時間のお散歩をして慣らしました。
病院に行く日の準備
当日の準備を整えることで、スムーズに通院できます。
前日までの準備
- お家の匂いがついたタオルや毛布を敷く
- ペットシーツを敷いておく
- 季節に合わせて保冷剤やカイロを活用
- 爪が伸びていれば、無理のない範囲でカット（難しければ病院でOK）
キャリーケースに、お家の匂いがついたタオルや毛布を敷いておきましょう。慣れた匂いがあると、猫は安心します。
ペットシーツを敷いておくと、粗相してしまった場合も安心です。
夏場は保冷剤で涼しく、冬場はカイロで温かくしてあげるのも良いでしょう。
爪が伸びている場合は、可能であれば事前に切っておきます。ただし、無理は禁物です。病院でお願いすることもできます。
当日の朝
飼い主が落ち着いていることが大切です。焦りは猫に伝わります。
時間に余裕を持って準備し、キャリーに入れる30分前から、いつもよりゆったりした雰囲気をつくりましょう。
キャリーへの入れ方
猫が自分から入らない場合は、タオルで優しく包んでから入れる方法があります。お尻側から入れると落ち着きやすいです。
首根っこや前足だけをつかんで持ち上げるのは避け、体全体を両手で支えるように抱き上げます。
どうしても難しい場合は、洗濯ネットに入れてからキャリーへ。包まれていると安心する猫もいます。
移動中の工夫
移動中も猫の不安を和らげる工夫ができます。
キャリーの覆い方
大きめのタオルやブランケットをかけて外が見えないようにすると、猫は落ち着きやすくなります。ただし通気性には注意しましょう。
移動方法
徒歩や自転車の場合 キャリーを両手でしっかり持ち、体に密着させて揺れを最小限に。
車の場合 キャリーをシートベルトで固定するか、床に置いて揺れを少なくします。急発進や急ブレーキは避けましょう。
車酔いする猫もいます。よだれや泡を吹く様子が見られたら、すぐに車を停めて休憩し、新鮮な空気を取り入れ、落ち着かせることが最優先です。
声かけ
移動中は、優しく声をかけてあげましょう。「大丈夫だよ」「もうすぐ着くからね」など、穏やかな声かけは安心につながります。
待合室での過ごし方
待合室でも、猫の不安を減らす配慮ができます。
naluじゅにあの通う動物病院は診察の順番が近くなるとLINEで連絡をしてくれるので、待ち時間が少なくて助かっています。急ぎでない場合は、予約制の病院を選ぶのもおすすめです。
キャリーの置き場所
膝の上か、椅子の上に置きましょう。床は他の動物が近づきやすく、足音も響きやすいため不安が増します。
キャリーの上にはタオルをかけたままにして、他の動物や人が見えないようにします。
静かな場所を選ぶ
可能であれば、待合室の隅や静かな場所を選びましょう。動物病院によっては、猫専用の待合スペースがあることもあります。
外や車の中で待てる場合は、スタッフに伝えて外で待つのも方法のひとつです。
やってはいけないこと
見知らぬ人といきなり目が合うのは、猫にとって怖いことです。
- キャリーから猫を出す
- 扉を獣医師に向けて「ごあいさつ」させる
診察室でのポイント
診察室に入ってからも、猫への配慮を続けましょう。
キャリーからの出し方
スタッフの指示があるまで、キャリーから出さないようにします。緊張して出てこない場合は、無理に引き出さず、優しく促しましょう。
診察台は隠れる場所がないため、猫は不安になりやすいです。時間がある場合は、キャリーに戻したりタオルをかけたりして落ち着ける環境をつくります。
処置中の接し方
処置中は、飼い主も落ち着いていることが大切です。大きな声で励ましたり、叱ったりすると、猫はさらに緊張します。
穏やかに名前を呼び、「もう少しで終わるよ」と伝える程度が安心につながります。子猫や余裕がある場合は、スタッフに許可を得ておやつをあげるのも効果的です。
帰宅後のケア
病院から帰った後も、猫への配慮が必要です。
すぐには出さない
帰宅したら、静かな場所にキャリーを置き、猫が自分から出てくるのを待ちます。
他に猫がいる場合は、匂いの変化で威嚇することがあるため、少し時間を置いてから会わせましょう。
リラックスできる環境を
お気に入りの場所でゆっくり休めるようにします。食事や水は、猫が欲しがるタイミングで与えましょう。
ご褒美を忘れずに
様子が落ち着いたら、お気に入りのおやつや遊びでねぎらいます。「病院の後は良いことがある」と覚えてもらえると、次回の通院が少し楽になります。
特別なケースへの対応
どうしても困難な場合の対処法も知っておきましょう。
極度に嫌がる場合
パニックを起こしてしまう猫には、獣医師に相談して事前に服用する薬を処方してもらうこともできます。不安を軽減する薬で、移動中や診察時に猫を落ち着かせる助けになります。
不安軽減フェロモンスプレーも効果的な場合があります。キャリーにスプレーして乾かしてから使いましょう。
定期的に通院する
年に1回の予防接種だけだと、「病院＝嫌な場所」になりがちです。
可能であれば、定期的に健康チェックで通院することで、病院を少しずつ怖くない場所として認識してもらえます。何もせずにおやつだけもらいに行ったりすると、病院への印象がやわらぎます。
どうしても難しい場合
写真や動画で診察してもらえる動物病院もあります。どうしても連れていくのが難しいときは、電話やメールで相談してみるのも方法のひとつです。
ただし、適切な診察のためには、やはり実際に連れていくことが理想です。少しずつ慣らしていきましょう。
わがやのじゅにあの病院体験について以下の記事でご紹介しています。
まとめ
猫を動物病院に連れていくのは、飼い主にとっても猫にとっても負担になることがあります。キャリーへの慣らし方や当日の準備、移動中や待合室での工夫によって、ストレスは大きく軽減できます。
大切なのは、急がずに猫のペースに合わせること。普段からキャリーを日常の一部にして良い印象をつくっておくと、いざというときの通院がぐっとスムーズになります。
猫の健康を守るためには、定期的な通院が欠かせません。小さな工夫を積み重ねながら、猫も飼い主も安心して病院に通える環境を整えていきましょう。
