ペットショップは猫を迎える方法として最も身近な選択肢ですが、事前に知っておくべきポイントもいくつかあります。「かわいい」という気持ちだけで決めてしまうと、後から「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあるかもしれません。
- 健康な猫を見極める方法
- 販売スタッフの対応で注意すべきこと
- 契約時の注意点とトラブル回避のコツ
- ペットショップ以外の選択肢も検討すべき理由
- ペットショップで猫を選ぶ際の具体的なチェックポイント
わたし自身、ペットショップで猫を見ていたとき、「フードの定期購入はいかがですか」「このサプリメントもセットでお得です」と次々に商品を勧められて、正直疲れてしまった経験があります。また、質問したスタッフがアルバイトの方で、猫についての知識があまりなく、困ってしまったこともありました。
ペットショップは便利な反面、商業施設としての側面もあるため、利用者側がしっかりとした知識を持っておく必要があります。この記事では、ペットショップで猫を選ぶ前に知っておきたい重要なポイントを詳しく解説します。あなたの納得のいく選択ができるよう、お手伝いできれば嬉しいです。
ペットショップの環境と衛生状態を確認する
まず最初にチェックしたいのが、ペットショップの環境です。猫たちが清潔で快適な環境で過ごしているかどうかは、そのお店の信頼性を測る重要な指標になります。

環境チェックのポイント
- ケージの広さと清潔さ
猫が窮屈そうにしていないか、トイレは清潔に保たれているか確認しましょう。排泄物が放置されたままだったり、臭いがきつかったりする店舗は避けるべきです。 - 室温と換気
子猫は温度変化に弱いため、適切な温度管理がされているかも大切なポイント。また、換気が不十分で空気がよどんでいる店舗は、猫の健康管理が行き届いていない可能性があります。 - 照明と騒音
明るすぎる照明や騒音の多い環境は、猫にとってストレスになります。猫が落ち着いて過ごせる環境かどうかも観察しましょう。
店内を歩いて、「ここで猫を育てたいと思えるか」を自分に問いかけてみてください。違和感があれば、別の店舗を検討するのも一つの選択です。
猫の健康状態を細かくチェックする
どんなに環境が良くても、猫自身が健康でなければ意味がありません。以下のチェックリストを参考に、猫の様子をしっかり観察しましょう。

健康チェックリスト
| チェック項目 | 健康な状態 | 注意が必要な状態 |
|---|---|---|
| 目 | 輝いていて目ヤニがない | 目ヤニが多い、充血している |
| 鼻 | 湿っていて鼻水がない | 鼻水が出ている、乾燥している |
| 耳 | きれいで異臭がない | 汚れている、悪臭がする |
| 毛並み | ツヤがあってふわふわ | パサパサ、抜け毛が多い |
| 体格 | 適度な肉付き | 骨が浮き出ている、極端に太い |
| 動き | 活発で好奇心旺盛 | ぐったりしている、動かない |
| お尻周り | 清潔で汚れがない | 汚れている、下痢の痕跡 |
一つでも気になる点があれば、スタッフに確認しましょう。「大丈夫ですよ」と軽く流されても、納得できなければ購入を見送る勇気も必要です。
生後日数と社会化期を理解する
猫を迎える適切な時期は、一般的に動物愛護管理法に基づき生後8週間(約2ヶ月)以降とされています。これより早い時期に親や兄弟と離されると、社会性が育ちにくく、問題行動につながる可能性があります。
生後日数で分かること
- 生後6〜8週未満
まだ親や兄弟と過ごすべき時期。この時期に販売されている猫は、慎重に検討する必要があります。 - 生後8〜12週
迎え入れに適した時期。社会化期を経て、人間との生活に適応しやすくなっています。 - 生後3ヶ月以上
健康面でも安定し、性格もある程度見えてきます。初めて猫を迎える方には、この時期の猫もおすすめです。
- 動物愛護管理法により、原則として生後56日(8週)未満の犬猫の販売は禁止されています。
生後日数が曖昧だったり、明確に教えてもらえなかったりする店舗は信頼性に欠けます。必ず確認しましょう。
【動物愛護管理法の遵守】 2019年の法改正により、犬猫の販売については生後56日(8週)を原則として経過した後でなければならないという規制があります(一部地域や指定団体は経過措置あり)。生後56日未満の子猫を販売しようとする店舗は、法律を遵守していない可能性があるため、特に注意が必要です。
親猫の情報と血統を確認する
ペットショップでは、親猫の情報が不明確なケースも少なくありません。しかし、遺伝的な病気のリスクや将来の体格、性格などを知る上で、親猫の情報は重要です。

確認すべき親猫の情報
- 親猫の品種と血統
- 親猫の健康状態と既往歴
- 遺伝性疾患の有無
- 繁殖回数(母猫への負担が大きすぎないか)
- 親猫情報等の表示義務、情報提供ができない店舗は法律順守の意識が低い可能性があります。
もし店舗側が親猫の情報を持っていない、または教えてくれない場合は、どこから仕入れた猫なのかを疑問に思う必要があります。透明性のある店舗を選びましょう。
スタッフの知識と対応を見極める
ペットショップのスタッフは、必ずしも猫の専門家とは限りません。実際、多くの店舗ではアルバイトスタッフが接客を担当しており、十分な知識を持っていないケースもあります。

スタッフ対応のチェックポイント
- 質問への回答が具体的か
「この品種の特徴は?」「どんなフードを食べている?」といった質問に、具体的に答えられるかを確認しましょう。 - 猫への愛情が感じられるか
猫の名前を呼んだり、優しく接したりする様子があるかも重要なポイントです。 - 分からないことを正直に言えるか
知らないことを曖昧に答えるより、「確認してきます」と言える誠実さがあるかどうかも大切です。 - 押し売り感がないか
「今日契約しないと他の人が買ってしまう」といった急かす言葉や、強引なセールスをしてこないかも確認しましょう。
naluわたしの経験では、知識豊富なスタッフに出会えるかは、タイミングや店舗次第という側面もあります。複数のスタッフに質問してみて、一番信頼できそうなスタッフを見つけるのも一つの方法です。
フードやサプリの契約提案に注意する
ペットショップでは、猫の購入と同時にフードの定期購入契約やサプリメント、ペット保険などを勧められることがよくあります。これ自体は悪いことではありませんが、よく考えずに契約してしまうと後悔することも。


契約前に確認すべきこと
- 本当に必要なものか
その場の雰囲気に流されず、冷静に判断しましょう。一度持ち帰って検討する時間を持つことも大切です。 - 解約条件は明確か
定期購入の場合、解約の手続きや違約金の有無を必ず確認してください。 - 価格は適正か
同じ商品がネットや他の店舗でもっと安く買えないか、事前に調べておくと安心です。 - 押し売り感はないか
「今日だけの特別価格」「このセットじゃないと猫が病気になる」といった不安を煽る言葉には要注意です。



断る勇気も大切です。「家族と相談してから決めます」「一度考えさせてください」と伝えて、冷静に判断する時間を確保しましょう。
ワクチン接種と健康診断の記録を確認する
ペットショップから猫を迎える際、必ず確認したいのがワクチン接種と健康診断の記録です。これらの情報は、猫の健康状態を把握する上で欠かせません。
確認すべき医療記録
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| ワクチン接種 | 種類、接種日、次回接種予定 |
| 健康診断 | 実施日、診断結果、獣医師名 |
| 駆虫 | 実施の有無、時期 |
| 既往歴 | 過去の病気や怪我の記録 |
これらの記録が書面で提供されるか、曖昧な返答しかもらえない場合は、健康管理が不十分な可能性があります。また、迎えた後にかかりつけ医に見せるためにも、書面での記録は必須です。
保証制度とアフターフォローの内容を理解する
多くのペットショップには、購入後の保証制度があります。しかし、その内容は店舗によって大きく異なるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
保証制度の確認ポイント
- 保証期間はどのくらいか
一般的には1〜3ヶ月程度ですが、店舗によって異なります。 - どんな場合に保証が適用されるか
先天性の病気のみか、感染症も含むかなど、適用範囲を明確にしておきましょう。 - 保証の内容は何か
治療費の負担なのか、返金なのか、交換なのか。「交換」という表現に倫理的な違和感を覚える方もいるかもしれません。 - アフターフォローはあるか
困ったときに相談できる窓口があるか、定期的なフォローアップがあるかも確認しておくと安心です。
保証内容は必ず書面で確認し、口頭での約束だけで済ませないようにしましょう。
契約書の内容を細部まで確認する
猫を購入する際には、必ず契約書を交わします。この契約書には、後々トラブルになりかねない重要な内容が含まれているため、サインする前に必ず細部まで確認しましょう。


契約書でチェックすべき項目
- 猫の個体情報
品種、性別、生年月日、マイクロチップ番号などが正確に記載されているか。 - 価格と支払い条件
総額、内訳、支払い方法が明確か。追加費用が発生する可能性はないか。 - キャンセルポリシー
契約後のキャンセルが可能か、その場合の条件は何か。 - 禁止事項
繁殖禁止、譲渡禁止などの条件がある場合、内容を理解しているか。 - 保証の詳細
前述の保証制度について、具体的な内容が記載されているか。
分からない点があれば、遠慮なく質問しましょう。曖昧なまま契約するのは絶対に避けてください。
他の選択肢も検討してみる
ここまで読んで、「ペットショップって意外と注意点が多いな」と感じた方もいるかもしれません。実は、猫を迎える方法はペットショップだけではありません。
他の選択肢との比較
| 方法 | メリット | 向いている人 |
|---|---|---|
| ペットショップ | 気軽にアクセスできる | すぐに決めたい、品種にこだわりたい |
| ブリーダー | 親猫や環境を確認できる | 品種と血統にこだわりたい |
| 保護猫 | 命を救える、初期費用が抑えられる | 品種にこだわらない、社会貢献したい |
それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の希望や生活環境に合わせて、最適な方法を選んでください。「なんとなくペットショップで」と決める前に、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。
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ペットショップで猫を迎える際の心構え
最後に、ペットショップで猫を迎える際の心構えについてお伝えします。ペットショップは商業施設なので、どうしても「売る」ことが目的になります。それ自体は悪いことではありませんが、利用する側は冷静な判断を忘れないようにしましょう。
大切にしたい心構え
ペットショップを上手に活用するには、利用者側もしっかりとした知識と判断力を持つことが大切です。
- 感情だけで決めない
かわいいと思っても、一度冷静になる時間を持ちましょう。「今日決めないと」という焦りは禁物です。 - 質問することを恐れない
分からないことは何でも聞いてください。良い店舗なら、丁寧に答えてくれるはずです。 - 違和感を無視しない
「何か変だな」と感じたら、その直感を大切にしてください。無理に契約する必要はありません。 - 長期的な視点で考える
猫は15年以上生きることもあります。一時の感情ではなく、長い付き合いを前提に考えましょう。


まとめ
ペットショップで猫を選ぶ際には、環境や衛生状態、猫の健康状態、スタッフの対応、契約内容など、確認すべきポイントがたくさんあります。特に、フードやサプリの契約提案には慎重になり、スタッフの知識レベルも見極める必要があります。
ペットショップは便利で身近な選択肢ですが、商業施設としての側面も理解した上で、冷静に判断することが大切です。焦らず、納得がいくまで検討し、場合によっては他の選択肢も視野に入れてみてください。
この記事で紹介したポイントを参考に、あなたにとって最良の選択ができることを願っています。猫との幸せな暮らしが始まりますように。







