野良猫を保護したらどうする?「対応・飼育・里親探し・費用」まで完全ガイド

近所で見つけた可愛い猫、その野良猫を保護した瞬間から、猫の健康や安全のためにやるべきことはたくさんあります。

この記事では、初めて野良猫を保護する方も、すでに猫を飼っていて新たに保護を考えている方も、安心して行動できるように、最初の対応から譲渡先の探し方、家猫として迎えるときのコツまで、流れをわかりやすく解説します。

この記事がおすすめな人
  • 野良猫を保護したばかりで何をすればいいか分からない方
  • 保護を検討しているけど手順が不安な方
  • 飼えない場合の選択肢を知りたい方

大切な命を守るために、正しい知識を身につけて行動していきましょう。

Contents

保護する前に確認すべき大切なこと

野良猫を見つけても、すぐに保護するのは少し待ってください。

  • 本当に野良猫かどうかを見極める

    首輪がなくても飼い猫の可能性があります。マイクロチップが入っている場合もあるので、保健所や警察署、動物病院に問い合わせてみましょう。SNSや掲示板で迷い猫情報を探すのも有効です。
  • 地域猫かどうかをチェックする

    耳先がV字にカットされている猫は地域猫です。すでに避妊去勢済みでボランティアが見守っているため、保護するとトラブルになることもあります。
  • 子猫の場合は母猫の存在を確認する

    一匹でいても母猫が近くにいる可能性があります。人の匂いがつくと育児放棄されることもあるので、1〜2日様子を見てから判断しましょう。
  • 保護後の選択肢を事前に決めておく

    飼うのか譲渡するのか、あらかじめ考えておくことが大切です。自治体へ持ち込むと殺処分の可能性もあるため、慎重に判断しましょう。

野良猫を保護する手順と必要な道具

猫と人間の安全のためにも、必要な道具を使って保護しましょう。

  • 人懐っこい猫の場合
    キャリーケースに直接入れることができますが、必ずゴム手袋を着用しましょう。洗濯ネットを使うと脱走防止になります。
  • 警戒心が強い猫の場合
    捕獲器を使うのが確実です。事前に借りられる保護団体などがあるかを確認し、エサで数日慣らしてから設置すると成功率が上がります。
  • 必要な道具
    キャリーケース、タオルや毛布、洗濯ネット、ゴム手袋、猫用フード、ペットシーツなど。捕獲器を使う場合は布等で覆って落ち着かせましょう。

保護直後にすぐやるべき初動対応

  • 動物病院へ連れて行く

    保護したらできるだけその日のうちに受診しましょう。感染症や寄生虫は見た目では分かりません。
  • 検査と処置

    視診・触診・聴診などの一般身体検査に加えて、ノミ・ダニ・内部寄生虫の駆虫、猫エイズと猫白血病のウイルス検査、便検査などが行われます。

    子猫か成猫か、元気か体調が悪いかによって必要な処置が変わるため、獣医師と相談しながら進めましょう。費用は5,000〜15,000円程度が目安です。
  • ワクチンと避妊去勢

    ワクチンは月齢に応じて複数回必要です。避妊去勢は生後5〜6ヶ月頃に行いましょう。
  • お風呂はNG

    汚れていても無理に入れず、濡れタオルで拭く程度に。ノミ・ダニは病院で処方される薬で駆除します。

避妊手術についてはこの後記事下部に、詳しく解説したリンクを貼っています。
すぐに確認したい方はこちらからどうぞ。

先住猫がいる場合の隔離と対応

すでに猫を飼っている家庭では、先住猫の心や体を守るために慎重な対応が必要です。

  • 完全隔離が基本

    別室やケージで飼育し、先住猫とは食器やトイレも分けましょう。
  • 隔離期間の目安

    最低2週間、できれば1〜2ヶ月が理想

    猫エイズや猫白血病には潜伏期間があり、保護直後の検査で陰性でも後から陽性に変わる可能性があるためです。

    ノミ・ダニや猫風邪が完治するまでは特に注意が必要で、ケージ越しでも感染することがあります。
  • 対面のステップ

    獣医師から対面のOKがでたら、匂い交換 → ケージ越し対面 → 短時間の同室、と段階的に。

先住猫と安心して対面させるステップを、こちらの記事で具体的に紹介しています。

保護猫の一時的なお世話

保護直後の猫は不安と恐怖で、攻撃的になっている可能性があるため、無理に触ったり構ったりせず、落ち着いて過ごせる環境を整えてあげましょう。

  • 静かで安全な場所を用意
    人の出入りが少ない部屋やケージにトイレと毛布を。
  • 食事は少量ずつ
    空腹でも一度に大量に与えず、少しずつ。子猫はミルクやふやかしたフードを。
  • 無理に構わない
    猫のペースで慣れるのを待ちましょう。夜鳴きも数週間で落ち着きます。

猫との距離を少しずつ縮めていくコツは、こちらの記事でわかりやすくまとめています。

飼えない場合の選択肢|TNRと地域猫活動

TNRとは、捕獲(Trap)・不妊手術(Neuter)・元の場所に戻す(Return)の略で、野良猫の繁殖を防ぐ活動です。耳先をV字にカットして日本では、「さくら猫」と呼ばれます。

  • 手術

    TNRを実施している動物病院で、手術の予約を入れます。
    手術費用は、自治体や財団法人の助成金制度もありますが、予算がなくなると終了してしまうため、自己負担で実施されることが多いです。

  • リリース

    麻酔が完全に覚めてから元の場所へ。麻酔が残っている状態で放すと、フラフラして事故に遭う危険があるため注意してください。捕獲器を安全な方向に向けて開け、猫が走り出す方向を考慮してリリースしましょう。
  • 地域猫として見守る

    ボランティアと協力し、エサや排泄物の管理を行います。地域の理解が不可欠です。
じゅにあ

TNRに協力してくれる動物病院もあって、飼い猫の去勢・避妊手術料金よりも割引してくれることもあるよ!

避妊・去勢手術の流れや費用について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

譲渡先の探し方

保護猫の新しい家族を探す方法はいくつかあります。

身近な人から探す

親戚や友人、仕事仲間など、知り合いに猫を飼いたい人がいないか聞いてみましょう。相手の身元が分かっている安心感があり、最も簡単な方法です。

地域での掲示とチラシ配布

スーパーやコンビニ、動物病院などの掲示板にポスターを貼らせてもらう方法も効果的です。猫の可愛い写真と性格、連絡先を載せたポスターを作り、施設の許可を得てから掲示しましょう。

  • 個人情報が心配な場合は、フリーメールアドレスを利用すると安心です。

里親募集サイトの活用

ペットのおうち、ジモティーOMUSUBIhugUなどの里親募集サイトに情報を掲載すると、多くの人の目にとまる機会が増えます。

何度か連絡を取りあい、信頼できる人か、しっかりお世話をしてくれるかを確認しましょう。

譲渡会への参加

動物保護団体が開催する譲渡会に参加すると、猫を迎えたい人と直接話ができます。ワクチン接種やウイルス検査を済ませてから参加するのが一般的なので、事前に必要な準備を確認しておきましょう。

安全な譲渡のための条件設定

信頼できる里親を見極めるために、以下のような条件を設定すると安心です。

  • 完全室内飼いができること
  • 経済的に余裕があること
  • 家族全員の同意が得られていること
  • ペット可の住宅に住んでいること

お試し期間としてトライアル飼育を設けることで、猫と新しい家族の相性を確認してもらえます。正式譲渡の際には、契約書を交わして連絡先を共有しておくことで、譲渡後も猫の様子を確認でき安心です。

保護猫を飼うときのコツ

  • 脱走対策を徹底
    野良猫は外の世界を知っているため、脱走のリスクが高いです。玄関には脱走防止扉、窓には脱走防止柵を設置しましょう。
  • トイレのしつけ
    失敗しても𠮟らず、根気よく。元いた場所の砂を使うと慣れやすいです。
  • 人慣れは時間をかけて
    おやつや優しい声かけで信頼関係を築きましょう。
  • 避妊去勢手術は必須
    繁殖防止と問題行動の軽減に効果的です。
  • 定期的な健康診断
    野良猫時代に受けた傷や病気の影響が後から出ることもあるため、定期的に動物病院で健康診断を受けましょう。

保護猫についてはこちらの記事も参考になります。

猫の保護活動にかかる費用の目安

猫の保護活動にかかる費用の目安を、初期費用と継続費用に分けて表にまとめました。

保護活動の規模や、保護する猫の数、健康状態によって費用は大きく変動します。この表は一般的な目安としてご覧ください。

初期費用(保護開始時や譲渡前)

項目費用の目安(一匹あたり)備考
医療費
健康診断・初期検査3,000円〜10,000円血液検査、便検査など
ワクチン接種 (1〜2回)3,000円〜8,000円/回三種混合、五種混合など
避妊・去勢手術10,000円〜30,000円オス猫は安価な傾向あり。助成制度がある場合も。
ノミ・ダニ・回虫駆除2,000円〜5,000円スポットタイプ、経口薬など
準備品費用
キャリーバッグ2,000円〜5,000円通院・搬送用
ケージ・サークル5,000円〜20,000円初期隔離や安静が必要な場合
トイレ・猫砂1,000円〜3,000円初回購入費
食器・水飲み500円〜2,000円
合計約26,500円〜83,000円健康な成猫の最低限の目安

初期費用に関する注意点

  • 病気や怪我の治療費: 感染症(猫風邪、FIP、エイズ、白血病など)や怪我が見つかった場合、治療費が数万円〜数十万円と高額になることがあります。
  • 多頭飼育の場合: 隔離のためのケージや、猫砂の消費量がその分増えます。

継続費用(毎月の維持費)

項目費用の目安(一匹あたり/月)備考
食費
プレミアムフード3,000円〜8,000円栄養バランスが良いもの、療法食が必要な場合など
一般的なフード1,000円〜3,000円
消耗品費
猫砂500円〜1,500円種類や交換頻度による
トイレシート500円〜1,000円システムトイレの場合
おもちゃ・爪とぎ500円〜1,500円消耗品として定期的に購入
その他雑費
冷暖房費など1,000円〜3,000円保護猫のための室温管理にかかる電気代の概算
合計約3,500円〜15,000円最低限の生活を維持するための目安

継続費用に関する注意点

  • 慢性疾患: 腎臓病や糖尿病など、継続的な投薬や療法食が必要な猫の場合、毎月の医療費が上記に加えて数千円〜数万円かかることがあります。
  • 譲渡会費用: 譲渡会に参加する場合、会場費、交通費、広報費などが別途かかります。

費用のまかない方について

これらの費用をまかなうために、多くの保護団体や個人活動家は以下の方法を活用しています。

  • 譲渡費用(里親からの徴収): 医療費の一部を里親に負担してもらう。
  • 寄付・募金: 一般の方からの支援を受ける。
  • クラウドファンディング: 特定のプロジェクトや緊急性の高い医療費を募る。

野良猫を保護することは、小さな命を救う尊い行動です。
その瞬間から「命を預かる責任」が生まれますが、正しい知識を持って行動すれば、猫に安心できる暮らしを届けられます。

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